冷熱に関するお困りごとを解決し、持続可能な社会を実現するために
弊社では研究開発に力を入れております。
温度制御に関する分野
沼津工業高等専門学校との共同研究で、温度制御に関する研究開発をおこなっています。
具体的には、PLC(Programmable Logic Controller、プログラマブルロジックコントローラ)を用いたシーケンス制御、特に、PID制御およびPFCについて研究しています。将来的には、環境試験装置の温湿度制御の効率化を目指します。
PID制御について
PID制御(Proportional Integral Differential 制御)とは、出力値と目標値の差(偏差)に着目して、P(比例)、I(積分)、D(微分)という3要素で入力値の制御を行う方法です。フィードバック制御の一種として、温度制御や自動車の速度調整をはじめ様々な分野に用いられています。
PID制御では、ある時刻tでの目標値と現状値との差をe(t)とすると、装置の操作量u(t)を
という式で表すことができます。
P(比例)、I(積分)、D(微分)の各項を足し合わせて装置の操作量を制御し、出力値を目標値に近づけていきます。
Kp、Ti、TdはPID制御のパラメータ(PID定数)です。
今回の研究では、PID定数を調整するためにPLCのオートチューニング機能を使い、温度変化に対する応答を様々な条件下で測定することで、PID制御の汎用性の高さを検証しています。
PID制御は「古典制御理論」に基づくフィードバック制御で、これまで様々な分野で用いられ、温調器にも数多く採用されてきました。
PID制御を初めとする「古典制御理論」では制御量と操作量が1入力1出力ですが、1960年代に確立した「現代制御理論」は複数の制御量・操作量を扱う多入力多出力プロセスを対象とします。
弊社では、これらの研究結果を応用し、現代制御理論に基づいた電子膨張弁や温湿度調節器の開発を目指しています。
PFCについて
上述のPID制御に置き換わる可能性があると言われているのが、PFC(Predictive Functional Control)という制御方法です。
PFCは現代制御理論に基づく「モデル予測制御」(Model Predictive Control; MPC)の一種で、制御対象の不確かさや変動に対して強い「ロバスト制御」となります。数値モデルを使って制御量の予測を行い、予測値が目標値に収束するように操作量を算出して制御する手法です。
PFCは計算負荷が軽量でチューニングが簡単なためPID制御よりも使いやすく、目標値の急激な変化や外部からの刺激(外乱要因)にも対応しやすいことから、制御対象が長い応答時間やタイムラグをもつ場合でも効果が高いといったメリットがあります。
弊社ではこのPFCの手法を使って温調器を作りたいと考え、沼津高専の三谷教授と共同で研究を進めています。
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IoTに関する分野
沼津工業高等専門学校や浜松工業技術支援センターをはじめとする方々に協力を頂きながら、IoT分野の研究開発を進めています。
2021年11月から、浜松工業技術支援センターで弊社IoT予知保全システムの常設展示が始まりました。
開発の背景と概要
冷熱機器業界ではこれまで、装置が壊れてから修理する「事後保全」が一般的でした。しかし、昨今のフロン規制強化の影響で修理部品が品薄となり、調達に時間が掛かるケースが増えています。装置の故障発生・緊急停止から修理完了までの期間が長期化すれば、現場は操業停止せざるを得ず、お客様の機会損失につながる可能性があります。
そこで弊社では、修理の迅速化に向けてIoT・ICT技術を導入しました。冷熱機器にIoT端末を取り付けて温度・冷媒圧力・圧縮機電流などのデータを収集することで、故障の前兆を検出する「IoT予知保全」をご提案しています。
また、日本冷凍空調工業会が策定したガイドライン JRA GL-17:2021への準拠を目指し、研究開発を続けています。
IoT予知保全システム
このシステムでは、装置の特徴や冷媒特性、これまでの修理・メンテナンス事業で蓄積したデータに基づいて測定データにしきい値を設定し、異常が検出された場合は修理担当者とユーザーに警告通知が届きます。故障の前兆を早期に発見してトラブルを予知し、機器が停止する前に修理を実施することで、機会損失リスクを最小限に留めます。
また、IoT端末により装置の稼働状況の「見える化」および遠隔監視が可能になるため、お客様のニーズや経営課題の実情に合わせ、システムのカスタマイズも実施できます。将来的には、フロン排出抑制法で義務付けられている簡易点検にも使用できるよう、システムの改良を進めております。
キャンピングカーと冷凍技術のコラボ製品
合同会社ナミレ 様との共同開発による、軽トラックを改造した小型キャンピングカーと、弊社冷凍機技術のコラボ製品です。キャンピングカー用のエアコン、マルチボックスを利用した恒温槽、などを開発しています。
【主な用途】
- キャンピングカーの室内をエアコンで快適に
- 夏や冬の避難生活を想定し、非常災害に備える
- レンタル用の恒温槽を軽トラックに搭載
SDGs、持続可能な社会に向けた研究開発
脱炭素化が求められる一方で、最近は燃料価格が上昇し、電力需給の厳しい状態が続いています。
弊社でも、再生可能エネルギーの有効活用と、省エネ型の冷熱機器・設備の開発を進めることで、社会貢献につなげたいと考えております。
省エネ型の製品
- ソーラー発電と小型バッテリーを利用した冷熱機器
- 小型サーバーBOX
農業支援(実証実験中)
- 太陽熱利用 冬季の熱源として温水収熱管を用いることで、ボイラーの燃料代を節約
- 井戸水利用 水耕栽培、ハウス栽培の温度調節に地下水の熱を利用
協力人材募集中
上記分野の他にも、「故障予測に関するMTシステム」
「小型発電パネルの太陽追尾システム」などの研究開発が進んでいます。
弊社は小さな企業ですので、新たな分野に挑戦する際は、外部の人材との連携姿勢を大切にしています。
また、弊社の技術や専門知識が求められた場合には、できる限りのご協力をしております。
協力して未来を切り開く「協創」の姿勢が、これからの日本経済の原動力になると考えているからです。
弊社の研究開発内容や今後の研究課題、協創のビジョンにご興味のある方はご連絡ください。
募集
- 共同研究を進めたい研究者や教育機関
- 技術面や営業面で協力し合える企業や個人事業主、副業人材
- インターンシップを希望する学生
- 従業員(正社員またはパート)として働きたい人
今後の研究課題
(準備中)