冷熱機器のSOS

よくある故障

「冷えなくなった」
「装置が緊急停止した」
「冷凍機異常の警告表示が出た」
というような、冷凍機に関するSOSがよく弊社に寄せられます。

弊社が修理の対象としている製品は、環境試験装置と産業用冷熱機器…つまり、主にフロン類を充填した冷凍回路を持つ、業務用の冷凍機器・空調機器の全般です。

製品や設備の規模と用途により、冷凍能力、構成機器、使用されている冷媒などはさまざまな種類がありますが、故障と不具合の原因には共通点が見られます。

エラーによる停止

図のような一般的な冷凍サイクルを用いた装置について、ご説明します。

故障や不具合が発生して異常な状態になると、各種の自動制御装置が作動し、冷熱機器が停止することがあります。

冷熱機器の構成要素の中で最も重要とされているのが、冷凍機の心臓部とも言える「圧縮機」です。
したがって、何らかのエラーが検出された場合は、まず圧縮機を止めて保護するように設計されています。圧縮機が止まると冷媒の循環が止まり、やがて機器全体が停止するのです。

業務用エアコンの場合、リモコンなどにエラーコードが表示されます。
表示されたエラーコードを記録し、取扱説明書やメーカーの資料・ホームページなどで


確認していただくと、迅速な対応に繋がります。

圧縮機を使わないタイプの冷熱機器や、特殊な装置については別途ご相談ください。

自動制御装置の種類と役割

冷凍機器には、以下のような自動制御装置が設置されています。

種類 主な役割
高圧遮断装置 高圧側の圧力が異常に高くなるとスイッチを切り、圧縮機を止める
低圧遮断装置 低圧側の圧力が異常に低くなるとスイッチを切り、圧縮機を止める
油圧保護装置 潤滑油の油圧が規定値以下になると、圧縮機を止めて保護する
過負荷保護装置 モーターに過大な電流が流れるとスイッチを切って電流を止める
凍結防止装置 冷水温度が設定値以下になると、接点を開いて圧縮機を止める
冷却水断水保護装置 冷却水の量が減ると、接点を開いて圧縮機を止める
凝縮器温度制御装置 送風機が動かないなどで凝縮器の温度が高くなりすぎた場合、圧縮機は運転しない
過熱防止装置 ヒーターが熱くなりすぎた時、ヒューズが溶けて電流を止める

また、アンモニアを冷媒として使っている機器の場合は、

アンモニアの毒性と可燃性への
安全対策として、




上記以外にも次のような装置が加えられています。

 ・ガス漏洩検知警報設備、除害設備
 ・緊急停止装置
 ・緊急遮断装置
 ・高温遮断装置
 ・溶液高温遮断装置

よくある故障や不具合と、その原因

よくある故障の具体的な内容と発生箇所、主な原因についてまとめました。

故障や不具合 発生箇所 主な原因
高圧圧力異常 冷媒系統 冷媒の過充填、詰まり、空気などの不凝縮ガスの混入
凝縮器 冷却水温度の上昇、水量不足、冷却管の汚れ、冷却水調整弁のトラブル
冷却塔 容量不足
室外機・室内機 汚れやフィルターの目詰まり、ファンモーターの不具合、猛暑で放熱できなくなった
異常高温 冷媒系統 不凝縮ガスの存在、異常高温による冷媒の分解
膨張弁 選定不良、ゴミ詰まり、水分氷結、過熱度設定過大
圧縮機 過熱運転、吸込み蒸気の温度過大

冷媒漏洩

ガス漏れ

配管 経年劣化や振動による破損や亀裂、穴あき、緩み
圧縮機 シャフトシール漏れ
 凝縮器 冷却水の水質不良による腐食、穴あき
 受液器 ガラス管液面計の破損
 その他 ブライン冷凍機の場合: 凍結破損、腐食による穴あき、冷却管破損など
冷却能力不足  冷媒系統 冷媒不足、冷媒漏れ、水分混入、液体時のフラッシュガス発生 
 蒸発器 汚れ、冷媒の流量不足、圧力損失、分流器の不良
 凝縮器 冬季の圧力低下
膨張弁 選定不良、ゴミ詰まり、氷結、過熱度設定過大
その他 負荷変動大、空気冷却器の着霜

電動機焼損

モーターの故障

圧縮機 発停頻度、電圧差、負荷、起動トルク、吸込み蒸気温度高
モーター 真空運転によるモーターの冷却不足
潤滑不良 オイル 圧縮機の油圧不足、油量不足、粘度不足、オイルフォーミング発生、油の汚れ、油戻り不良
圧縮機の弁割れ 圧縮機 液戻りや油戻りによる過剰な負荷で吐出弁・吸入弁が割れる
液分離器 容量不足
膨張弁 感温筒の取付け不良、過熱度設定不良
その他 凝縮圧力過大、冷却器の液面上昇
腐食、損傷 冷媒系統 水分混入で加水分解された冷媒による腐食
 冷却水 水量過多、流速過大による腐食
 ブライン液 pH管理不備や流量過多による腐食
 その他 経年劣化、オイル漏れによる腐食
庫内の野菜や薬品などから発生したガスによる腐食

エラー原因や不具合の診断、故障箇所の特定、修理、解決策のご提案やアフターメンテナンスまで。
新冷熱技研はワンストップでご対応します。冷熱のお困りごとは弊社にご相談ください。