2020年12月6日、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に帰還し、小惑星リュウグウで採取したサンプルを持ち帰ることに成功しました。太陽系の成り立ちや、進化と生命の起源を解明するため、現在はサンプルの分析が進められています。

任務を終えた「はやぶさ2」は地球最接近・スイングバイを経て、拡張ミッションのためイオンエンジンを噴射させ、現在も宇宙空間の航行を続けています。

JAXA Hayabusa2 Project

はやぶさ2との通信には、長野県佐久市にある美笹深宇宙探査用地上局の54mアンテナが使用されています。

このアンテナは、臼田宇宙空間観測所にて運用中の64mアンテナの後継として開発されました。口径は小さくなりましたが、鏡面精度、指向精度、受信機の性能向上などにより、64mアンテナと同等の性能を有しています。従来のXバンドに加えて、約4倍高速で大容量のデータ通信が可能なKaバンドにも対応しています。

地球からの距離が200万km以上の宇宙を「深宇宙」と呼ぶそうです。
地球から小惑星リュウグウまでの距離は約3億㎞、はやぶさの現在地までは約9530万㎞。遠い宇宙との通信にはロマンを感じます。

この美笹深宇宙探査用地上局の建設にあたり、通信を安定維持するための冷却設備の面で、弊社もご協力させていただきました。

冷却設備(チラーシステム)

2019年8月頃から試作回路製作・設置・試運転などのお手伝いをしてきました。

2020年1月、チラーシステムの冷媒管に関する概要設計を実施。4月には現場周辺の気温が氷点下で大雪の中、設置作業を行う予定でしたが、作業中に新型コロナウイルスの非常事態宣言が発令され、工事は中断となりました。

2020年6月、非常事態宣言の解除により工事が再開され、20馬力(15Kw)の冷凍機5台を1500m級の山地に設置しました。8月、美笹深宇宙探査用地上局の送信機冷却システムが完工しました。

はやぶさ2にはKaバンドアンテナが搭載され、高速データ通信が可能です。しかし、これまで日本で使われてきた臼田宇宙空間観測所の64mアンテナでは、Kaバンド(32 GHz帯)のような高い周波数に対応できません。そのため、はやぶさ2のプロジェクトは米国航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)の国際協力による支援を受けて進められてきました。
美笹深宇宙探査用地上局でのKaバンドの送受信が可能になることで、「はやぶさ2」の運用と遠隔制御は自由度を増し、宇宙探査技術の進歩に繋がります。2021年の4月から、「はやぶさ2」および、ヨーロッパ宇宙機関の水星表面探査機(MPO)に対して通信設備の運用が開始されています。

Kaバンド(32 GHz帯)の高い周波数で、地球から約9000万km~3億㎞も離れた小惑星探査機に信号を送る…

専門外の人にはピンと来ないかもしれませんが、これは壮大なプロジェクトです。

携帯電話やスマホが通話中に熱くなった経験はありませんか? 電波を送信する時、熱が発生します。
テレビ・ラジオの放送所や、スマートフォン等に用いられる5Gのアンテナでも、発生した熱の処理が問題となります。美笹深宇宙探査用地上局のアンテナは、遠い宇宙の彼方に向けて高周波数の電波を送るため、大量の熱が発生するのです。その熱を冷却し、安定的に通信を行うために、大掛かりな冷却設備が必要になります。

アンテナの下部に設置された20馬力(15Kw)の冷凍機5台が、深宇宙との通信を支えています。

美笹局のパラボラアンテナ。下部に冷凍機が5台並んでいます
送信機冷却設備

2022年1月には、この送信機冷却設備(チラーシステム)の定期点検を実施することになっています。

宇宙工学を支える仕事ができ、ありがたいと感じております。はやぶさ2の次なるミッション、小惑星 1998 KY26の接近探査に向けて、これからも皆様との「協創」の姿勢でご協力していきたいと思います。

イオンエンジンを噴射する「はやぶさ2」(想像図)

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【画像引用元】
 JAXA はやぶさ2プロジェクト (JAXA Hayabusa2 Project
 DLR German Aerospace Center (Wikipediaflickr)


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