2021年10月下旬、磐田市の楽器製造工場様から低温液槽(-70℃)がエラーで停止したとの連絡があり、至急現地調査を行いました。

この低温液槽は産業用冷熱機器の一種で、トランペットやホルン等の管楽器を製造する工程で用いられています。


管楽器は演奏者の唇やリードの振動を管の中に伝え、楽器を共鳴させて音を出します。音の高さは共鳴する管の長さによって決まるため、金属製の長い管を何度も折り曲げて楽器の形を作っていきます。

金管楽器の例

このように金属製の管を曲げる時に使われているのが、今回ご依頼いただいた低温液槽です。円筒形や円錐形の管をそのままベンダーで曲げようとすると、途中で管が折れてしまったり、穴の形が崩れたりします。そこで、低温液槽で-70℃に冷やした液体を使います。
黄銅管(真鍮)の中に水を入れて-70℃で凍らせて疑似的に一本の棒にした上で、ベンダーで曲げて均一なカーブを作り、楽器の形に仕上げていくのです。

今回の低温液槽のエラーは、ウォーターハンマー現象と低温脆性で配管に亀裂が発生し、液体が漏れたことによる液面低下が原因でした。

配管のクラックから液が漏れていました
原因箇所

具体的には、液槽内の循環ポンプの発停に伴って配管内を流れる液体のスピードが変化し、配管内の圧力が急激に上昇・下降して大きな衝撃が発生する「ウォーターハンマー現象」が起きていました。
更に、-70℃という低温下で配管の金属がもろくなる「低温脆性」が加わったことで、循環ポンプの圧力を監視しているセンサーにつながる銅管が損傷。応力亀裂によるクラックが発生し、液槽内の液体が漏れていました。

原因となった銅管を装置から外して弊社技術研究所へ持ち帰り、銅ロウ溶接でクラックを補修した後、翌日早朝に復旧作業を行いました。

銅ロウ溶接をすると通常は黒い酸化膜が出来ますが、当社は特殊な工法により、銅管表面に出来る酸化膜を抑えています。また、管内にはハックシールドを実施し、酸素置換ガスを流して内外共に酸化膜がつかないよう留意しました。

銅ロウ溶接でクラックを補修しました
部品を取り付けて断熱材を補修
修理完了

部品を取付けた後は、液体の漏れがないことを確認し、断熱材の補修を行って試験運転を実施。試運転で-65℃に到達したことを確認し、お客様に装置をお引渡しして作業を終了しました。

液槽の温度を測定
試運転を実施。-65℃に到達

担当者様から、やり甲斐を感じるメッセージを頂戴しました。

担当者様

突然のお願いにも関わらず迅速な対応ありがとうございます。

次回より銅管を定期交換と致しますので宜しくお願い致します。

どんな仕事でも『ありがとう』と声を頂くと、また次も頑張りたくなります。


産業用冷熱機器のエラーが起きた際は、新冷熱技研にご相談ください。
現地調査での原因究明、配管に生じたクラックの補修、冷凍機の修理など。
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